擁壁が原因で土地が売れない?購入・売却の前に知っておくべきポイント
擁壁が原因で土地が売れない?購入・売却の前に知っておくべきポイント
土地の売買を検討する際、擁壁の存在が大きな影響を与えることがあります。
擁壁とは、高低差のある土地で地盤の崩壊を防ぐために設置される壁状の構造物です。
適切に管理されていない擁壁は、土地の売却を困難にする要因となり得ます。
本記事では、擁壁の役割と必要性を理解し、土地取引における注意点を解説することで、安全かつ効果的な対処法をご紹介します。
□擁壁の役割と必要性
擁壁は、建物を建てる際に敷地内や隣地に高低差がある場合に設置されます。
その主な役割は、土地の荷重や圧力による地盤の崩壊を防ぐことです。
擁壁の構造的特徴として、土圧に耐えられるよう頑丈に作られていることが挙げられます。
高低差を有する土地で擁壁が必要とされる状況は以下の通りです。
・傾斜が30度を超える岩盤以外の土質の土地
・高低差が2m~3mを超える土地
・住宅用地といった十分な水平距離を取れない土地
地方自治体では、がけ条例により擁壁の設置基準を定めています。
例えば、兵庫県では、がけ地に建物を建てる際、がけの高さの1.5倍以上の水平距離を確保するか、擁壁を設けるなどの安全措置が求められます。
2mを超える擁壁を新設する場合は、建築確認申請が必要となり、着工までに時間を要することがあります。
また、既存の擁壁についても、安全性の確認が不可欠です。
□擁壁が原因で土地が売れない?土地売買に与える影響
擁壁の損傷や管理不足は、土地の売買に大きな影響を与えます。
以下のような状態の擁壁は、地震や大雨による土砂災害のリスクが高く、危険とみなされます。
・ひび割れや変形が生じている擁壁
・異なる素材を組み合わせた2段積み擁壁
・自然石を積み上げただけの擁壁
・許可が必要な規模であるにも関わらず、許可を得ていない擁壁
このような擁壁がある土地は、現状のままでは売れない可能性があります。
外見上は問題がないように見える擁壁でも、自然災害により変形や崩壊するおそれがあります。
大雨による水圧の影響で擁壁が倒壊したり、地震で緩んだ地盤によって擁壁が損傷したりすることがあるのです。
特に、古い擁壁では許可を受けずに設置されたものや、2メートル以下の擁壁では安全性の確認がされていないことがあり、注意が必要です。
擁壁の管理責任は、基本的に擁壁を設置して所有している人にあります。
土地を売却した場合、管理責任は買主に移ります。
もし、設置状態の不備により擁壁が崩壊や倒壊して隣地に被害を与えた場合、土地の所有者が責任を負うことになります。
このようなリスクを避けるため、買主が決まらないケースもあるのです。
□まとめ
擁壁は、高低差のある土地で地盤の崩壊を防ぐ重要な構造物ですが、その損傷や管理不足は土地の売買に大きな影響を与えます。
ひび割れや変形、許可の有無などを確認し、安全性を評価することが重要です。
また、擁壁の管理責任は土地の所有者にあるため、売却時には買主へのリスク説明が必要となります。
擁壁の役割と注意点を理解し、適切な対処を行うことで、安全かつ円滑な土地取引が可能となるでしょう。