市街地価格指数を用いた土地の取得費計算とは?譲渡所得税の申告で損しないために

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市街地価格指数を用いた土地の取得費計算とは?譲渡所得税の申告で損しないために

市街地価格指数を用いた土地の取得費計算とは?譲渡所得税の申告で損しないために

土地の取得費が不明な場合、譲渡所得の計算に困りますよね。
売買契約書が見つからない、相続で取得した土地の取得価格がわからないなど、取得費を正確に把握できないケースは少なくありません。
そんなときに役立つのが「市街地価格指数」です。


□市街地価格指数とは?


市街地価格指数とは、一般財団法人日本不動産研究所が公表している、全国主要都市の宅地価格の推移を指数化したものです。
土地の取得費を推計する際に利用でき、取得費が不明な場合に、概算取得費ではなく、より適切な取得費を算出する手段として注目されています。


1:市街地価格指数の仕組み


市街地価格指数は、全国主要198都市の宅地を対象に、毎年2回調査を実施することで算出されています。
調査は、不動産鑑定士が各都市の代表的な宅地を調査し、その価格を評価することで行われます。
評価された価格は、基準となる時点の価格を100として、その時点からの価格変動を指数で表します。


2:市街地価格指数を使った取得費計算


市街地価格指数を用いることで、下記の式により、土地の取得費のおおよその値を求められます。


土地の取得費≒土地の譲渡価格×(取得時の市街地価格指数÷譲渡時の市街地価格指数)


例えば、2000年に1000万円で取得した土地を、2023年に2000万円で売却する場合、取得時の市街地価格指数が100、譲渡時の市街地価格指数が150であれば、取得費は下記のように計算できます。


土地の取得費≒2000万円×(100÷150)≒1333万円


この計算によると、取得費は約1333万円となり、概算取得費(2000万円×5%=100万円)よりも、より正確な取得費を推計できます。


3:市街地価格指数の入手方法


最新の市街地価格指数は、一般財団法人日本不動産研究所のウェブサイトで公開されています。
過去の市街地価格指数は、冊子として販売されています。


□市街地価格指数を使った取得費計算のメリットと注意点


市街地価格指数を使った取得費計算は、概算取得費と比べて正確な取得費を算出できる可能性がある一方で、利用できるケースが限定的であり、税務調査で否認されるリスクも存在します。


1:市街地価格指数を使った取得費計算のメリット


・概算取得費と比べてより正確な取得費を算出できる可能性がある
・税務調査で指摘されるリスクを軽減できる可能性がある


2:市街地価格指数を使った取得費計算の注意点


・市街地価格指数による取得費計算が認められるケースは限定的
・税務調査で否認される可能性もある
・誤った計算や利用方法によって、かえって税務上の問題が生じる可能性もある


3:市街地価格指数を使った取得費計算が認められるケース


市街地価格指数を使った取得費計算が認められるかどうかは、ケースバイケースです。
一般的には、以下の条件を満たしている場合に認められる可能性が高いと考えられます。
・取得価格を知る手掛かりとなる資料がない
・取得時の地目が宅地である
・土地が所在する地域が市街地価格指数の調査対象地域である


4:市街地価格指数を使った取得費計算の注意点


市街地価格指数を使った取得費計算は、あくまでも推計であり、必ずしも正確な取得費を算出できるわけではありません。
また、税務調査で否認される可能性もあります。
そのため、市街地価格指数を利用する際には、事前に税理士に相談し、適切な方法で取得費を算出することが重要です。


□まとめ


市街地価格指数は、土地の取得費が不明な場合に、概算取得費ではなく、より適切な取得費を算出する手段として有効です。
しかし、利用できるケースが限定的であり、税務調査で否認される可能性もあるため、利用する際には注意が必要です。
土地の取得費が不明な場合は、市街地価格指数を利用することのメリットとデメリットを理解した上で、税理士に相談し、適切な方法で取得費を算出しましょう。