不動産相続トラブルを防ぐ方法・解決策は?
不動産相続トラブルを防ぐ方法・解決策は?
高齢の両親や身内の方の相続を控えている方にとって、相続手続き、特に不動産の相続は複雑で、トラブルに巻き込まれる可能性も高く、不安ですよね。
この先、どのような問題が起こりうるのか、事前に知っておくことは、安心した相続を進めるために非常に大切です。
今回は、不動産相続で起こりがちなトラブルを具体例を交えながら解説し、トラブルを防ぐための生前対策や、トラブル発生時の対処法、相談窓口についてもご紹介します。
不動産相続トラブルの全貌と予防策
よくある不動産相続トラブル12選
1: 相続人が複数いる場合、誰がどの不動産を取得するかで争いが起こることがあります。
特に、遺産の大部分が不動産で、現金が少ない場合や、不動産の価値が高い場合(駅近、広さ、利便性など)は、相続人同士の争いが激化しやすいです。
例えば、評価額の高い不動産を相続したい相続人が複数いる場合、話し合いが難航し、関係が悪化する可能性があります。
解決策としては、遺言書の作成、または遺産分割協議での公平な分割方法(現物分割、代償分割、換価分割など)の検討が挙げられます。
話し合いがまとまらない場合は、弁護士などの専門家への相談も有効です。
2: 田舎の実家など、資産価値が低く、売却や活用が困難な不動産は、誰も相続したがらないという問題が起こります。
維持費や固定資産税の負担が相続人の負担となるためです。
解決策としては、生前に不動産を売却する、自治体への寄付、相続放棄などが考えられます。
不動産業者への相談も有効な手段です。
3: 相続した不動産を空き家にしてしまうと、様々なトラブルが発生するリスクがあります。
建物の老朽化、不法侵入、近隣住民への迷惑、固定資産税の増税などです。
解決策としては、定期的なメンテナンス、売却、賃貸などがあります。
管理会社への委託も検討しましょう。
4: 不動産は高額な資産であるため、相続税の額も大きくなる可能性があります。
遺産に現金が少なく、相続税を支払えないという事態も起こりえます。
解決策としては、生前に相続税対策(生命保険、生前贈与など)を行うこと、相続税の延納制度や物納制度の利用、不動産の売却などが考えられます。
5: 相続人が亡くなった方の自宅に住んでいた場合、居住権を巡ってトラブルになる可能性があります。
特に、複数の相続人が同居していた場合や、相続人の一人が勝手に住み続けている場合は、紛争になりやすいです。
解決策としては、遺言書で居住権を明確にしたり、使用貸借契約を結ぶことが有効です。
話し合いがまとまらない場合は、遺産分割調停を申し立てることも検討しましょう。
6: 相続開始時に、不動産の名義が古いまま(被相続人以外の名義)になっているケースがあります。
過去の相続で名義変更がなされていなかった場合、手続きが複雑化し、相続が遅延する可能性があります。
解決策としては、過去の相続手続きを遡って行う必要があり、場合によっては専門家(司法書士など)の助けが必要になります。
7: 現物分割や代償分割をする場合、不動産の評価額を巡ってトラブルが起こる可能性があります。
評価方法(路線価、時価など)によって評価額が異なるためです。
解決策としては、不動産鑑定士による鑑定、または遺産分割協議における合意形成が重要です。
8: 代償分割で、代償金を支払う側が支払いを滞らせるケースがあります。
解決策としては、遺産分割協議書に支払い方法や期日、滞納時の対応などを明確に記載すること、公正証書を作成することが有効です。
支払いがされない場合は、遺産分割後の紛争調整調停を申し立てましょう。
9: 換価分割で不動産を売却した場合、譲渡所得税が発生します。
その負担方法を巡って相続人同士で争いが起こる可能性があります。
解決策としては、遺産分割協議で譲渡所得税の負担割合を事前に決めておくことです。
10: 不動産を共有で相続した場合、活用方法(売却、賃貸など)について意見が一致せず、トラブルになることがあります。
解決策としては、共有状態を解消し、単独名義にすること、または各相続人の持分を売却することが考えられます。
話し合いがまとまらない場合は、共有物分割請求訴訟を提起することもできます。
11: 共有で相続した不動産について、相続人が増え、合意形成が難しくなることがあります。
相続人が亡くなると、その相続人が新たに共有者となり、人数が増えるからです。
解決策としては、早期に不動産を売却するか、単独名義にすることが重要です。
12: 共有で相続した不動産の維持費や固定資産税の負担割合について、相続人同士でトラブルになる可能性があります。
解決策としては、遺産分割協議で負担割合を明確に決めておくことです。
トラブル発生時の対処法
1: まずは冷静に、現状を把握することが大切です。
関係書類(遺言書、登記簿謄本など)を確認し、問題点を明確にしましょう。
2: 当事者間で話し合い、解決を目指しましょう。
しかし、感情的にならず、客観的な視点を持つことが重要です。
3: 話し合いがまとまらない場合は、弁護士、司法書士、税理士などの専門家へ相談しましょう。
専門家のアドバイスやサポートを受けることで、より円滑な解決が期待できます。
4: 裁判外紛争解決手続き(ADR)の利用も有効です。
弁護士会紛争解決センター、日本不動産仲裁機構などがあります。
5: それでも解決しない場合は、調停、審判、裁判などの法的措置を検討しましょう。
生前対策の重要性・具体的な方法
生前対策は、不動産相続トラブルを未然に防ぐ上で非常に重要です。
遺言書の作成、生前贈与、財産整理などが有効な手段となります。
1: 遺言書の作成:自分の意思を明確に伝え、相続争いを防ぐことができます。
公正証書遺言が最も安全です。
2: 生前贈与:相続税対策にもなり、特定の相続人に財産を確実に渡すことができます。
贈与税の負担には注意が必要です。
3: 財産整理:不要な不動産を事前に処分することで、相続手続きの負担を軽減し、トラブルを回避できます。
専門家への相談
弁護士、司法書士、税理士など、それぞれの専門分野の専門家に相談することで、的確なアドバイスを受けることができます。
特に、相続に関するトラブルが発生した場合は、弁護士への相談がおすすめです。
不動産相続トラブルを解決するためのステップ
弁護士・司法書士・税理士への相談
相続に関する問題は、法律、登記、税金など専門的な知識が必要となるため、専門家への相談が不可欠です。
それぞれの専門家の役割を理解し、適切な専門家を選びましょう。
1: 弁護士:相続に関するあらゆる問題に対応できます。
遺産分割協議、訴訟など。
2: 司法書士:相続登記手続き、相続人調査など。
3: 税理士:相続税の申告、節税対策など。
遺産分割協議・調停・裁判
遺産分割協議がまとまらない場合は、調停、審判、裁判などの法的措置を検討する必要があります。
1: 遺産分割協議:相続人同士の話し合いで遺産分割を決めます。
2: 遺産分割調停:家庭裁判所で調停委員を介して話し合いを行います。
3: 訴訟:調停が不成立の場合は、裁判で解決を図ります。
相続登記の義務化と手続き
2024年4月1日より、相続登記は義務化されました。
相続した不動産は、相続開始を知った日から3年以内に登記手続きを行う必要があります。
手続きが遅れると過料が科される可能性があります。
まとめ
不動産相続は、高額な財産を扱うため、トラブルになりやすいものです。
しかし、事前に適切な対策を行うことで、多くのトラブルを回避することができます。
今回ご紹介したトラブル事例や解決策、生前対策などを参考に、ご自身の状況に合った対策を検討し、安心できる相続を進めていきましょう。